世界最大級の都市「東京」にある23の特別区
東京の人口は令和2年に1400万人を突破しました。その後夏にかけて減少し8月現在で1399万人台を推移しています。
東京は東京を取り囲む周囲の3県と密接な関係にあり、3県の人口は、令和2年8月の時点では神奈川県921万人、埼玉県734万人、千葉県628万人となっています。
この4都県を合わせると3600万人を超える人々が住む巨大都市圏となっています。
この大都市であり日本の首都である東京を円滑に管理するため、東京には都直轄の23の特別区(東京23区)が制定されています。
東京だけ!首都にある23の特別区
東京都には23の特別区が設置されていす。「区」という名称は日本全国の政令指定都市にありますが、そちらは行政を分ける区分であり、東京の特別区とは性質が異なるものになっています。
東京の場合、都道府県と「区」との間に東京市というワンクッションが置かれていません。
神奈川県→横浜市→港北区(行政区)
東京都→☆直轄☆→港区(特別区)
1943年(昭和18年)までは、現在の大阪や京都と同じように、東京府の下に東京市と、その中に区がありました。
- 当初の東京市は面積も小さく、都心を中心に15区が存在。
- その後周辺の地域を統合して東京市は35区に拡大。
- 1943年には東京市の権限が東京都に移譲され東京市は廃止、35区は東京都の直轄に。
- 終戦後の1947年までに35区が再編され、現在の23区が完成しています。
東京の特別区の特徴・市とは何が違う?
なぜ東京に特別区があるのかは、これは首都の運営を円滑に行うためという理由です。
首都であり大都市である東京で、各市町村に権限があると都市機能に支障をきたす為です。
特別区は「市」よりも小さい権限しか与えられていない
逆に言えば、特別区には市とは異なり、一部の権限が移譲されていません。法人事業税などは特別区が回収はできず、都民税として東京都が一度回収し分配しています。
つまり東京直轄の意味するものは、東京の特別区には通常の市に移譲される一部の権限が移譲されず、東京都・都知事に一部の権限が保持されています。
一方、都は23区に対しては「市」としての機能も持っていることになります。
県と都では、その管轄下にある自治体への権限が異なり、都知事の権限が大きいとも言えます。市町村と異なり、特別区は東京の直轄なので、国が関与しづらいとも言えます。
※特別区が課する税目は主に特別区民税(個人)で、区民税(法人)、固定資産税などは都税とされています。企業の多い千代田区などには、市としての権限を求める動きがあるようです。
特別区の区長は選挙で選ばれる
東京の特別区の区長は区民により選挙で選ばれます。横浜市や大阪市といった市の中にある「行政区」は特別区とは異なり独立した地方自治体ではないので、区長は選挙で選ばれるのではなく市長によって任命されます。
特別区は住民サービスが低い?
通常の生活で、市町村と比較して特別区の区民に対する住民サービスが低いと肌で感じるということは無いものと思われます。
通常の行政による違いと同様、区によっては子育て世代への手厚いサポートがあったり、渋谷や世田谷区のように同性同士でパートナーシップ制度に申請できるなど、住む区による違いは出てきます。
何か重要視する区の方針がある場合は、転居先を決める際に調べておくと良いでしょう。
各区には区役所の窓口の他にも細かく出張所が設けられており、主な行政サービスはそちらで受けることができます。転出入を含め、日常生活で区役所にいくことはあまり無いかもしれません。
では、その東京の都市圏の中枢を成す23区について、簡単に見ていきたいと思います。
東京の23区の全リスト
東京23区のリストと、区長室へのリンクです。
(1)千代田区
皇居、東京駅、国会議事堂に、霞ヶ関の官庁街など、あらゆる日本の首都の中枢を抱えるのが千代田区です。丸の内、大手町のオフィス街もあり、行政と経済、双方の中心地にもなっています。
千代田区が生み出す経済力は計り知れませんが、特別区は市町村と異なり、固定資産税・市町村民税法人が入りません。我々都民は、東京都に一旦払うことになります。
東京駅 大手町駅 秋葉原駅 神田駅 日比谷駅
(2)中央区
千代田区に密接に隣接しているのが、中央区です。江戸の中心地だった日本橋をはじめ、東京駅の東側に広がる八重洲、世界有数のショッピングストリート銀座を抱えています。
銀座の先には築地、月島といった東京湾に近い古くからの街もあり、タワーマンションが林立して変貌する勝どき、晴海といった湾岸エリアの一部も中央区になります。
銀座駅 日本橋駅 月島駅 勝どき駅 馬喰横山駅

(3)港区
東京の「華やかさ」を牽引して変貌し続けているのが港区です。
都心の古くからの高級住宅地である青山、麻布、白金、高輪といった静かなエリアを抱え、各国の大使館や外資系企業も港区に集中しています。
それを踏まえ森ビルが再開発を進めてきた高規格なオフィスビルや高級マンションが港区の高級なイメージを先導し、夜の街として知られてきた六本木も森ビルの六本木ヒルズ、三井の東京ミッドタウンなどの完成後はIT成功者のシンボルのようにもなってきました。
「高級」「外国風」「セレブ」といったイメージのある港区ですが、巨大ターミナルである品川駅を南端に持ち、オフィス街である新橋や浜松町、慶應大学のある三田など、多様な街を抱えています。
ここまでで「都心3区」と呼ばれることもあります。
品川駅 新橋駅 浜松町駅 六本木駅 青山一丁目駅 虎ノ門ヒルズ駅 泉岳寺駅

(4)渋谷区
港区と並んで東京の広報担当を先導するのが渋谷区です。若者のトレンドを先導してきた渋谷と原宿という2つの街を抱えています。繁華街である渋谷駅から少し入った先には「松濤」「広尾」「代官山」といった渋谷区の高級住宅地が広がります。
渋谷駅周辺は現在ではGoogleやサイバーエージェント、GMOなどの巨大IT企業やITベンチャーが集積し、大規模な再開発が2020年までに続々と完成しました。若者の街というよりは高級でお洒落な街へと変貌しています。
渋谷区は北に大きく広がっていて、新宿から出る京王線の初台、幡ヶ谷、笹塚の3駅は渋谷区内にあります。笹塚、幡ヶ谷などは下町のような密集した住宅地が残っているエリアもあります。
早くから同性パートナーシップを導入、子育てへの手厚い支援など、住民に対するサポートでも先進していると言えます。
主要な駅:渋谷駅 原宿駅 恵比寿駅 代官山駅 広尾駅
(5)新宿区
新宿区を含めたここまでの5区で「都心5区」と呼ばれることもあります。
新宿区には日本一の乗降客数を誇る新宿駅があり、周辺には歌舞伎町の繁華街や外国人の多い新大久保があります。
また、都庁のお膝元であり、東京の元祖摩天楼である高層ビル群は遠くからでも目視できる東京のシンボルです。
新宿中央公園、新宿御苑など緑の多い特別区でもあります。神宮外苑の国立競技場も、住所は新宿区になります。
区の北側は全体的に密集した住宅地域が大きく広がっています。
都心5区では、新宿区だけが自動車が練馬ナンバーに、他は品川ナンバーになります。
新宿駅 新大久保駅 高田馬場駅 信濃町駅 四谷三丁目駅 西新宿五丁目駅
(6)文京区
文京区は区域が山手線の内側、中央線よりも北側にありながら、JRの駅がなく中心的な街がありません。繁華街がないのはメリットでもあり、静かなキャンパスや公園、古くからの住宅地が広がっています。
東京大学があり、区全体が文教地区という印象が強い区です。
丸の内線、三田線、南北線、有楽町線といった路線が通っています。
主要な駅:本郷三丁目駅、湯島駅、千駄木駅、後楽園駅、春日駅、護国寺駅、東大前駅
(7)台東区
台東区は、上野と浅草という二大歓楽街を抱えます。区域は山手線の内側の上野公園・谷中付近で文京区と接し、東側は隅田川まで続きます。
主要な駅:上野駅、御徒町駅、浅草駅、浅草橋駅、蔵前駅
(8)品川区
品川駅が品川区ではなく、北側の港区に所在していることは有名な話です。品川区の区域は品川駅よりも南側の海沿いから、北は目黒区に面した武蔵小山駅まで広がっています。
北側はイメージするよりも遥かに北まで、港区と目黒区の間をすり抜けて、渋谷区の恵比寿ガーデンプレイスの目の前まで広がっています。つまり、目黒区と港区はお隣同士のような印象でありながら繋がっていないのです。
品川区は山手線付近や大崎駅周辺の再開発区域をのぞき、密集した住宅が広がる地域が多くなっています。武蔵小山や戸越銀座など、東京では珍しいアーケード商店街が発達し活気を見せています。
主要な駅:大崎駅、五反田駅、大井町駅、青物横丁駅、北品川駅、旗の台駅、戸越銀座駅
(9)大田区
羽田空港を抱え、東京23区で最大の面積を持つ特別区です。
多摩川を挟んで神奈川県の川崎市に接しています。港町の密集した区域や田園調布や山王といった高級住宅地が混在しており、区域の中でも様々な顔を持ちます。
主要な駅:蒲田駅、大森駅、平和島駅、田園調布駅、羽田空港各駅
(10)目黒区
目黒区の中心地として、東急東横線の中目黒駅、学芸大学、自由が丘が挙げられます。
JR山手線の目黒駅は品川区にあります。目黒区は「目黒区柿の木坂」や「目黒区八雲」といった著名人も多く住む、都心に近い高級住宅地を多く抱えています。
主要な駅:中目黒、自由が丘、学芸大学、駒場東大前
(11)世田谷区
世田谷区は人口が100万人に迫りつつあり、東京23区で最大の人口を抱える特別区です。
主要な駅:二子玉川駅、三軒茶屋駅、成城学園前駅、下北沢駅
(12)中野区
中野区は新宿駅の北西に広がる特別区で、古くからの住宅密集地が多くなっています。
中野区の人口密度は豊島区に続いて2位となっています。
主要な駅:中野駅、東中野、中野坂上駅、野方駅、鷺ノ宮駅
(13)杉並区
23区の西部に位置し、西側では東京の市部である三鷹市や武蔵野市に接しています。
主要な駅:高円寺駅、荻窪駅、阿佐ケ谷駅、浜田山駅、永福町駅

(14)練馬区
東京23区の北西部に位置し、埼玉県の新座市や和光市に接しています。
西武鉄道や都営大江戸線、有楽町線といった沿線に住宅地が広がり、世田谷区に続いて2番目に人口が多い特別区となっています。
練馬区内には畑などが残り、のどかさの残る地域もあります。
主要な駅:練馬駅、石神井公園駅、大泉学園駅、光が丘駅、上石神井駅
(15)豊島区
豊島区=池袋 と言ってもいいほど、池袋駅を中心とした特別区です。
面積は小さいものの多くの人が住んでおり、人口密度は東京23区で一番となっています。
(16)板橋区
東京の北西部を走る東武東上線と都営三田線の沿線が大半を占めています。
余談ですが周辺の県から23区、更に東京都心まで、大きな河川などを一度も渡らずに入ることができるのは練馬区と板橋区に接した埼玉県の南西部地域のみです。鉄道でいえば東武東上線になります。
主要な駅:成増駅、大山駅、板橋区役所前、高島平

(17)北区
名前の通り、東京都心の北側に位置する区です。区域の南はJR山手線の田端駅があり、区役所のある王子駅、繁華街そしてJRの北の交通の要所として知られる赤羽駅などがあります。
京浜東北線を境に西側が台地で坂の多い地域に、東側が低地になっています。
(18)荒川区
荒川区はJR山手線と京成スカイライナーの乗り換え駅として利用者の多い日暮里駅を抱えています。
日暮里駅からは東京の北東に向かうJR常磐線、足立区内を走る都営の舎人ライナーも集結しています。
主要な駅:日暮里駅、西日暮里駅、町屋駅、南千住駅

(19)墨田区
隅田川の東岸に広がる下町の区です。
主要な駅:錦糸町駅、両国駅、押上駅、曳舟駅
(20)江東区
湾岸エリアの開発によって、人口増加の著しい地域です。従来の江東区は江戸時代から深川と言われ馴染まれてきた門前仲町や清澄白河、そして区役所のある東陽町といった地域が中心でした。
新たに東京湾岸の再開発が進む豊洲、東雲、そしてお台場地域に近い有明などはタワーマンションが並び、真新しい道路と開放的な景色が印象的です。
区内には深川ギャザリア、ららぽーと豊洲、有明ガーデンなど都内では珍しいショッピングモールがあります。
車のナンバーが「足立」から独立し、「江東」になりました。
主要な駅:門前仲町駅、清澄白河駅、東陽町駅、木場駅、豊洲駅、有明駅
(21)江戸川区
東京23区の東、江戸川を挟んで千葉県の浦安市や市川市に面する特別区です。
区域内には北からJR総武線、都営新宿線、東京メトロ東西線、JR京葉線の4路線が東西に貫いており、いずれも東京都と千葉県を結んでいる路線です。
江戸川区の区域は千葉県側が江戸川、東京都心側は荒川に挟まれており、水害の際に全て水没する地域として注意喚起がされ話題となりました。

(22)葛飾区
こち亀や寅さんなど、下町風情のある土地として有名な亀有や柴又があります。
足立区の更に千葉県よりに位置しており、区域は江戸川と荒川に挟まれ、南側は江戸川区と接しています。
主要な駅:金町駅、亀有駅、立石駅、青砥駅、京成高砂駅、新小岩駅
(23)足立区
東京の北東部にあり、区域は南は北千住駅付近から、北は埼玉県まで広がります。
主要な駅:北千住駅、綾瀬駅
