老後に住みやすい路線・街はどこ?シニアは本当に巣鴨に行くのか

老後に住みやすい街は?シニアは本当に巣鴨に行くのか

お年寄りが増えてるのに、楽しい場所は減っている

私が東京の街を歩いていて思うのは、これだけ高齢化が進んでいてもお年寄りが楽しそうな場所が少ないということです。松坂屋別館のパルコへの転換がいい例ですが、シニア向けのショップはむしろ減ってさえいるように思えます。

お年寄り向けの商品の少なさは、まだお年寄りにはちょっと遠い私でも心配になります。

定年後に楽しい生活を送るには、家や旅行も大事ですが、少し友人たちと会ったり、気軽にひょっこりと出かける場所があるのも大事だと感じます。

しかし東京には駅ナカのショッピングセンターのように、人口の割にお年寄りが蚊帳の外になっていることが多いです。

「花の東京」老後の楽しみは東京の東側の方が多い?

年配の親戚などは、銀座や日本橋であまり高くないけど美味しいものを食べ歩くのが趣味です。家は二子玉川ですが、「渋谷なんて怖くていけない」と、渋谷を通り越して東京の銀座や日本橋に出てきます。

この辺りじゃないと美味しくないし、そもそも楽しくないというのです。

花の東京」を感じるのは整然とした街並みの銀座・日本橋らしいです。

確かにIT企業のビジネスマンが早足で行き来し、若者たちが縦横無断に行き交う渋谷駅ではお年寄りが居心地が良さそうなレストランなどは少ないです。

世田谷区民の25%が60歳以上(2020年1月)

その渋谷の背後にある世田谷区でも高齢化が進んでいます。この2008年から2020年で人口が10万人近く増えて約91万人になった世田谷区ですが、60歳以上の人口が約23万人(全体の25%)となっています。

そうすると、簡単に渋谷に出れるというのは若い時はオシャレですが、年を取ってからは厄介なものになってしまうかもしれません。日比谷線で銀座に一本で出れる東横線や、渋谷を通っても半蔵門線でそのまま三越前に出れる田園都市線は有利とも言えます。

しかし何より大事なのは、自分の住んでいる駅周辺でちょっとお買い物をする場所があるかどうか、かもしれません。車の入らないアーケードのある商店街などは理想とも言えます。

巣鴨は別物・理想は御徒町?

お年寄りといえば巣鴨というイメージですが、お年寄りが巣鴨に大挙して押し寄せるわけではありません。

観光地としてたまに行くのは良いかもしれませんが、普段お友達と集まるというのは巣鴨地域に馴染みのない人にはあまり無いことです。(お年寄りは、おばあちゃんの街、などと言われる場所に行きたがらない場合もあります。)

私が年配の方々少しオシャレをして、楽しそうに集まっているのを見かけたのは、松坂屋本館の銀サロン、同じ御徒町駅前の吉池食堂、日本橋の三越特別食堂などです。若い頃のようにお年寄りたちがジャケットを着て集まっていました。また、プリンスホテルのような日系のホテルの食堂でも、こういう場所は東京には少ないなと見る度に思います。

これを見ていると、お年寄りたちが気楽に集まるためには、店員さんの年齢も高め、スペースに余裕があって、早く追い出されることもない、味も悪くない、そんな条件が必要になりそうです。

老後は住むエリアよりも駅近が命

私は両親が東京郊外に住んでいるのでたまに帰りますが、やはり近年の運転免許返納問題で困っているところです。やはり運転に不安が出てきていますが、駅から遠いので車が必要になります。自転車では真夏や真冬は非現実的なほど体力に厳しいです。

「私は大丈夫」というお年寄りでも健脚な方もいらっしゃるかもしれませんが、今よりも大きな重りを身に付けて、すぐに疲れてしまうという状況を考えなければいけません。

資産性だけでなく、体力的にいかに駅近が大事かを思い知らされます。

都心に近くて駅から遠いよりも、都心から遠くても駅から近い方が良いのではと感じます。

電車で行動範囲は広がる

23区内で徒歩10分くらいの場所に住むのであれば、急行でもう10分下ってでも駅前マンションに住んだ方がフットワークが軽くなる可能性があります。

ラッシュの時間帯や急行・特急列車を避けて行動すれば、空いた電車で座って移動することができるかもしれません。

この先、少子化で電車の本数等が減る路線はあるかもしれませんが、東京の一極集中は2030年まで続くというデーターもあり、そこまで大きく客数が減少する心配はなさそうです。

ただ、タクシーを使えるような余裕のある生活でしたら、逆に23区の方が便利とも考えられます。

フラットな街に住む

また、駅から家が遠い場合、お天気が良ければ自転車での行動もできますが、坂があると厳しくなります。

東京は坂が多く、私のいる新宿区内の街も想定外に坂が多いので驚かれます。私自身も無意識に駅との間にある上り坂を嫌っていて、疲れている時やスーツケースを引いていると辛く感じます。

友達の近くに住む

近所にお友達が多いことは大事なことです。どれだけ駅近の物件を構えていても、友人と疎遠で電車に乗ることも無いのでは寂しいものです。特に単身の方であれば、積極的にカラオケや囲碁など、なんでも良いので外に外出するきっかけを作るのも良いのではないでしょうか。

意識的に社交的にならないと、気軽に会える仲間とも疎遠になってきてしまいます。お年寄りと話をすると、「短気なので疎遠になってしまった」という話をよく聞きます。特に男性は少し嫌なことがあると、もう歳だし会うのもこれで最後だな、なんて話になってしまうようです。

少し嫌な面があっても簡単に縁を切らず、寛大に受け止めて長くお付き合いを続けるのがポイントでしょうか。